レーシングカート はその名の通り世界で一番小さなレースカー。フォーミュラー はお金がかかりすぎますし、そもそも 趣味の乗り物でもない。ましてや スーパーライセンス など手に入るわけがない。そこで庶民でも手軽に始められる モータースポーツ として レーシングカート が誕生した。考えうる最もシンプルな設計であるためにあらゆる便利な装置は非搭載。スピードが上がるほど針の穴を通すような繊細なタイミングと操縦が求められがゆえに、上手に決まった時の快感は他人に伝える言葉が思いつかないほど。そして技術が無くても曲がって止まれる普通車に感謝の念を抱かずにはいられない。ありがとう普通車。
日常目にするカートと言えば、遊園地に置いてあるようなゴーカート。ゴーカートは通常20Km/h程度に調整されており、子どもが乗車して追突しても大したことにはならないようになっている。だからあくまで子どもの乗り物だ。だからオジサンだって必要があればいつだって乗車できる。世間で「カート」と言えば、100人中99人はこれを想像する。でもこれはあくまでゴーカート。自分は「幼稚なご趣味ですね~」と言われたこともある。
安全を担保し、最大限スリルを高めているカートが最近鈴鹿サーキットにオープンした「カートアタッカー」。これは最高速度25Km/hで、LAPで34秒を切るとアタックステージ用の車両35Km/hに乗車できる。未経験のオジサンが乗車後平穏に過ごせるのはこの辺りまでとなるが、実は更に特別なライセンス無しで乗車できるもう1つ上のカートがある。遊園地ではなくサーキットが主催するレンタルカートだ。
最高速度は50~60Km/hとなり、タイミングを誤ればスピンやコースアウトも発生する本格的なマシン。遊園地ではなくレース用サーキットに出向きさえすれば、こんなに本格的なカートを飛び込みで楽しめる事を多くの人は知らない。モータースポーツに興味があるのであれば、是非スリングなカート体験を試してほしい。
サーキットでのカート走行を是非体験してほしいのではあるが心してほしい事がある。それは、遊園地ではないので「サーキット走行になる」事と、サーキットの基本常識は「車優先」であることと自分の乗っている車両については怪我も含めて全て「自己責任」になること。遊園地のように何もかも安全が担保され、何かがあったら訴えれば解決するといった場所ではないので、例えばホームストレートをフルアクセルで駆け抜けて、ハンドルも切らずにアクセル全開でまっすぐ1コーナーに突入すれば、クッションがあるとはいえむち打ちや怪我をする可能性が否定しきれない。マシンを破壊すれば弁償もしなければならない(相当頑丈にはできている)。でも、こういったリスクさえ承知して臨めばサーキットはハイパフォーマンスなカートに手ぶら飛び込みで乗車できる大人の遊び場所となる。サーキットのレンタルカートはスゴイのだ。
そして貴兄にチャレンジしてもらいたいのがライセンスが要求されるカート。レーシングカートだ。4ストローク200ccエンジンで、石野の1コーナー付近で80~90Km/hのパフォーマンスがある。2ストローク100ccタイプのレーシングエンジンを搭載した場合は100Km/hとなり、非日常の世界へとあなたを誘う。
回り道をせず、最小限の予算で、しかもレース経験のないオジサンの手にもかろうじて負えるであろうレースカーの先端がこのレーシングカートなのだ。
ようこそ石野サーキットへ!
「レーサーたちは特別な人たちではありません。
違いは始めたか始めなかったか、
ただそれだけです。」
Buzz Factory 菊池哲也