2024/1/11
あけましておめでとうございます。
現在木村家がレースで使用している自家用車はスバルのアウトバック。広い車内と悪路の走破性は筆するまでもないが大問題が。12年も経過すると点検の度に高額な整備費がかかり維持することが経済的に難しくなってきた。そこでご多分に漏れず本格的にトランスポーターとしてハイエースの注文に至った。え?1月の受注分が中部で20台しかない?で、次が7月?モリゾウさん、一体どうなってるんだ。結果的には受注してもらえたので次の車検までには車が変わりそうだ。4月以降らしい。スバルよ今までありがとう。
で、アウトバックでないのでカートは2台とも運搬が可能になり、道具類も厳選しなくてもありったけ積載できるようになる訳だが、こうなってくると石野愛は絶対に譲らないとしても長年憧れていた他のサーキットへの遠征が可能になる。もっと早くこの状況になれば良かったんだけれどごめんな大観。
2024年度は鈴鹿での走行を実現し親子で更なるステップアップを図る所存でございます。今年も木村親子を宜しくお願いします。
2024年元旦の10日後
2024/2/28
シングルエンジンの航空機はクルージング中以外の加減速・上昇下降時に左に曲がる特性があるので右ラダーを踏んでこれを打ち消すわけであるが、石野サーキットを走行するレースカーにはラダーペダルが付いていない。ボケは置いておいて、この感覚はおよそ1か月前くらいから気になっていた。今年に入って自分でドライブシャフトを交換したこともあり、この取り付け不具合によるものかと考えていた。厳密に測るとべリング端面から2mm程ずれており、とりあえず正確に付け直した。
それでもまだ左に曲がる。1月ほど悩んでいるとある日、岩瀬監督が現れた。
「あれ?木村さん、左右のホイールハブが違ってますね?」
よく見ると確かに左がロング、右がノーマルとなっている。一体いつからこんな状態だったのだろうか。可能性があるとすれば昨年度中のレインレース時に誰かのハブと入れ替わった位しか思い当たらない。自分はキーの端でトレッドを合わせるのでロングハブが付いていればベアリング端面からの距離は遠くなる。暫定的にハブを押し込んで端面の距離を左右合わせてみるも、ブレーキングによる左旋回傾向は穏やかにはなっても消えはしなかった。ハブの重量、荷重のかかり具合で左の方がよく引っかかってしまうのだろう。仕方がないのでこれらは注文することにした。
問題はなぜ最近までこの特性に気づかなかったのか?また何故気が付いたのかの考察。以前は、あっくんの教え通り「5コーナーというコーナーは無い。」という前提でコーナーに入っていた。実際コーナーに入ってからのブレーキングをしていたと思われ、既にハンドルは左に切られているので左旋回傾向には気づけない。じゃあなぜ9コーナーのフルブレーキでは気付けなかったのか?ひょっとすると縁石に乗っている兼ね合いの摩擦係数の左右差と思い込んでいて荷重移動やハンドリングでごまかしていたかもしれない。1コーナーも同じく...。ひょっとしたらもっと爽快に旋回できるのかもしれない。
しかし、なんせタイヤはSL22でしかも減ってきているのでレース時のブレーキでは間に合わない。するとブレーキングはもう少し手前から強く短いものに変わってくる訳だが、この操作になったという事は5年間抜けなかった石野走りから脱皮したという事なのか。気温、路面、タイヤに合わせた操作で「結果として」狙ったラインに乗せる。この操作になりつつあるのか。例によってやっとドライバーとしての0点に達したのかな?
2024/2/28
「監査が入るので岩瀬級で片付けお願いします。」
「!」
「これサイズ合わせ大体でいいですか?」
「いや、岩瀬級でお願いします。」
「これ岩瀬さんだったらOK出すかな?ん~、このへんダメかなぁ?」
基本わかっていることは全て対策する。起こり得ない事態を想定して保険をかけておく。その上で自己ベストを尽くしたうえで結果も求められる岩瀬グレード。その篤い哲学はサーキットを出て子ども施設にまで伝わり、そしてその厳しい公差基準は本人の知らない人たちにも常用されている。
2024/3/14
とうとう大観選手は長かった学生生活を終えることになった。卒業式である。名古屋の実家で服装を整え、最後の卒業式を見届けようと一族で蒲郡へと向かう...筈だった。2両編成で走行しており先行は大観。電話はスピーカフォンで繋いだ状態。ETCゲートを通り過ぎるとエラー音。ただ自分はスリップにピッタリついていたのでゲートは下がらずそのまま通過。どうやらETCカードが未挿入だったようだ。入り口付近に何故か白バイが止まっており、何やら話しかけてきている。いきなり卒業式に遅刻するパターンかと思ったが、ゲート付近は危ないからこっちに来いと言っているようだ。大観がETCの対応で車を離れている間に交通機動隊隊員がこちらに向かってくる。
「Buzzの木村さんですよね?」
は?
「タ〇〇〇〇レーシングのさ〇〇です。」
レースカーじゃなくって乗っていたのは白バイ。公道は向かうところ敵無しと言った所か。ただそれだけの話なのだがやはり勤務中の隊員は緊張する。公道では抜けないけれど、サーキットではオーバーテイクするぞ~!
2024/5/14
で、迎えた石野SLO第2戦は曇り、前日はピーカン晴天だったのでコンディションが違いすぎると思って練習はやめた。そして大観選手も1級整備士の2次試験で留守。「あ~、パドックこしらえたけれど、片付けるの大変だなぁ」と前日から途方に暮れる。現時点で判明している問題は2つ。
ロック級のフルブレーキをかけると左へ曲がろうとする
他車のアベレージから1秒くらい遅い
遅いのはともかく左旋回傾向が悪影響を及ぼしているのだろうか?仕方がないので公式練習。左傾向は極限でないと現れないので操縦的にはごまかしきれる。でも38秒台で遅い。SL17時代からずっと1秒くらい遅い。
「河野くん、エンジンが重い感じがするんだけれど、脱出後はついて行けなくもないんだけれど、脱出が遅いし全体的に遅いなぁ」「どこでどんな状態で重いかわかりますか?全体的?どこで離されますか?う~ん、プラグ見てみましょうか?これ新品ですか?練習で使ってたプラグと比較してみましょう。微妙だけれど、古いプラグのほうが飛びが良さそうなので古い方で行ってみませんか?」
でもタイトラもやっぱり遅い。
「ねぇねぇ杉ちゃん、斯々然々で1秒遅いんだよね」「今年に入って最近はどんどんノーマルに戻してて、最後に残ってるのがキャスター。SL22になってからフロントが入れられないからずっと寝かしてたの。」
「!!木村さん、起こしてみましょうよ。今なら予選に間に合いますって!」
そして望んだ予選ヒート。タイムは0.5秒短縮し、去年から殆ど諦めていた37秒台へズボッと突入。しかもコーナリングフィールがゴーという摩擦と安心感いっぱいの状態からクルンと爽快なイメージへ。遅かったのは僅かなグリップと引き換えに発生する旋回時のフロントブレーキが原因だったのかぁ!しかも寝かしても嬉しくなるほどグリップしなかったし、起こしても普通に旋回するし、と言うかこちらのほうが勢いよく回る。僅かな食いつきとインリフトが大げさになる程度のことだったのだ。
気分を良くして決勝。グリッドは出入り口付近。すると雨がポツリポツリ。レース1分前の合図で皆コース外へ出ていくのだが、グリッドは出入り口の前。仲間はもちろんライバルチームも含めて通り過ぎるほとんどの人に「木村さん頑張ってください!」とニヤニヤしながら声をかけられる。クソ~俺は絶対スピンしないぞ。
結果として本降りにはならず路面が変色しない程度に湿っただけだったが、[自主規制ここから]また彼が回った。俺の前で。[自主規制ここまで]。
成績こそ振るわなかったものの乗車姿勢もライバルカーと同じになり、色々と問題点もはっきりとして次戦に向けて張り合いがでる満足度の高いレースとなった。結局僅かなフロントグリップを期待してキャスターを寝かせたせいで1年悩む事になってしまたのだ。
帰り際に試験を終えた大観選手が立ち寄ってくれてお片付けも早く完了。嬉しかった。
「おじさんは旋回とスピンの違いがわからないですから。」
ERS 山本龍司
2024/5/15
「皆のスタンダードはキャスター寝かしが良いんですけどね😅」
「1周回って次のステップに繋がる練習していきましょう👍」
また逆だがや...。
「腕が上がればノーマルに近づく傾向があります。」
ERS 山本龍司
2024/5/19
先日の最終戦の決勝まえのパドック。
木村
「リヤスプロケ山数減らそうか悩んでるんです。コーナーでいい線いくんだけれどトップスピードで負けちゃうんです。」
岩瀬
「じゃあ変えてみればいいじゃないですか。」
木村
「でも根拠もないのにチャレンジしてハマると悔しいし。」
岩瀬
「私は試さなくて後悔するくらいなら試して後悔したいです。試さずに後悔なんかしたらずっと引きずりますから。」
木村「!」
もちろん山数は減らして決勝に臨んだ。結局減らして良かったと思ってるし、減らしたことによって発見したこともあるし次への作戦も浮かんだ。チャレンジしてなかったら水平展開のみで学びはなかったかもしれない。岩瀬さんはエンジニアリングだけではなく、忘れていはいけないもっと大切なことも気づかせてくれる。
人として人生を営んでいく上で大切な経験を凝縮して体験できる場所がサーキットだと思っているし、またそんな場所に集っている人たちとの出会いが人生の深みを増してくれているとも思っている。SDGsだけでは語りきれない自分にとっては大切な場所。
「試さなくて後悔するくらいなら試して後悔したいです。」
岩瀬篤史
2024/6/15
フレームも酷使してるし、エンジンもオーバーホールの時期なので次戦に向けて調整へ。フレームは相当乗り込んでてかなり曲がってたらしい。エンジンは回してみないとわからない。試合の前週は色々と私用があり練習できず、エンジンの慣らしもできず、それ以前にエンジンのマウントもできず、仕方がないので前々日にエンジンだけ着けて、貴重な土曜日には、ほぼ慣らしで終わってしまい、例によって本番突入。15000rpmくらい回るようになった事だけはわかった。そしてフレーム修正後のカートの乗り味は全く別物で、今まで何をしていたのかよくわからくなってしまう程の違いだった。さーて試合だ試合。試合で練習しよう。
2024/7/17
回るライバル、追突するチームメート、紆余曲折があるも困難を乗り越えて9位でゴール。走り込んだKosmicのフレームには神の手によってもう一度つばさが授けられた。え?決勝後に呼び出し?ブロックラインが酷だったかな??いや、ただの実況見分だった。自分はありのままに「プッシングによりコーナー脱出速度が増したので妨害を受けたとは思っていません」と答えたがプッシングの事実を明らかにしてしまいチームメイトはペナルティーとなった。すまん、かばい切れなかった。
この修正されたフレームとエンジンで、先に繋がる扉に手をかけた感じがした。
2024/7/14
この日の天気予報は朝から雨。土曜日は雨の用意だけして走りもしなかった。それは自分だけではなく大観選手も同じ。結果から書くと当日の天候は降ったりやんだりの晴れ気味な展開で、自分たちのセッションの天候は、なんちゃってレイン、ドライ、ドライ、ドライ。本当に困るが、自分はイレギュラーを楽しむHave fun!なM型ドライバー。
多少降ったが濡れてる程度。中古レインタイヤでの出走。ただでさえ浅溝なので本当はこすりたくなかったのだが走らないと駄目らしいので仕方がないので走る。走れないフィーリングではなかった。
全体的にペースが遅い感じ。自分はレース落ちタイヤだが多くのドライバーはここで皮むき。巡り合わせにより人生最初で最後のタイトラ6位。
グリッド6からのスタートは気分がいい、というか世界が違う。後ろの方はどうしても自分の技量を超えたホールショットでワンチャン狙いで突っ込んでくる輩が多く、死なば諸共感満載。故にレースの中で嫌いな時間なのだがグリッド6からのホールショットにはこれが無い。皆レース展開を冷静に考えており、必要以上な攻めがない。なんてクリーンな環境なんだ。俺が求めるレース、此処に在りけり!
ホールショット後、4コーナーの脱出に失敗して回るライバルカーがコースを塞ぐ。いつもの彼ではない。接触は避けつつも乱れたラインの修正でタイムロスが出る。
一方セット違いとアクシデントに見舞われて予選最後尾スタートの大観号、4コーナーのアクシデントを利用して後続車をかき分けて6コーナーで合流、というか父の脇腹に衝突!勢いいいじゃないか。親指を上に立ててノープロブレムを伝えつつも9コーナーで刺してこない。以降音沙汰なし。タイロットでも曲げたのか?「そんなにムキにならなくても自然な位置に来れば譲るじゃんね。」「いや、ホールショットをかき分けて上がってきて、あそこであのスピードを出したのが限界で、ちょっと当てちゃったけれどあれが最後だった...。」(後の会話)要するに悪いセットでも初期の遅い状態のライバルカーをかき分けけて前に出ることはできたが、スピードが乗ってくると、もはやそれまでだったと言うことだ。頑張れ大観!まだ決勝がある!
グリッドは8番、2ランク落としたがまだシングル圏内。決勝グリッドに整然と並んだライバルカーを見渡していると雨が降り出した。しかもボリュームがあった。「雨が降ってきましたので10分延期します。タイヤを履き替えるドライバーはこの10分で行ってください」と実況のヒロ渡辺さん。「レインにしましょう!」とてっさん。「大観はそれでいいと思いますが、自分はドライで行くとか。話題性抜群かも。」「いやいやレインにしときましょう。」「そうですか。じゃぁ急いで!」
タイヤをレインに履き替え、再びスターティンググリッドへ。なんか雨やんでる。レッドシグナルは消え、レースが開始される。以降雨はふらず、レインタイヤ4人の最後尾争いが始まった。
レイン先頭を行く大観、自分はレイン2番手であとを追うが、徐々に追いつく。ラインを選んで丁寧に抜いて1コーナーでオーバーテイク成功。こんな丁寧なオーバーテイクは息子か43号車Yuki選手にしかしない。罪悪観をもちつつもレインタイヤトップで先行する。そして息子より先に迎えるチェッカー。大観がオヤジにオーバーテイクされたので湧き上がるコースサイド!
計測「木村さん144.5Kg。ん?あれっ足りないですっ!」
木村「まじかぁ〜」
結局、最後に計り直しても同じ重量だったので500gの不足で名誉あるDisqualifiedとなった。滅多にない下剋上も幻と消えた。が、それはあくまでもルール上。チームメイトや道行く人々に「おめでとうございます!」「ルールとかは関係なくって大観を抜いたんですから。」と声をかけられる。更に気分を害する大観。
「抜かれた上に、その父さんが失格で、記録には俺が先なんて耐えられんっ!」
皆様、お疲れ様でした。自分は帰りに大観の運転する車の助手席で足らなかった500gはアサヒのスーパードライで補充することにした。
レインスースを脱いでも500gのマージンはあった。それをも下回って計測落ちするためには汗だけで体重が1kg減らないと勘定が合わない。冬季の減量計算法は夏季には効きすぎるという教訓。
追記)
計量の横に置いた660mlまでのドリンクは飲んでから計測しても良かったとのこと。知らなかった。知っていればこの試合は失格にならずに済んだのだ。残念。
運営からの説明によると、台数の多い大会だと計量待ちの間に熱中症になり、まかり間違って死者なんて出したら大変なので待ってる間に飲んでも良いというルールだということ。覚えておこう。
2024/8/4
誕生日にレースをするのは5年前のSS150クラス初参戦以来。体力的にも技術的にも厳しかった時代を思い出す。そして昨今悩んでいることは熱ダレしたタイヤの扱い方がわからないこと。今年もそのまま真夏のレースを迎えてしまった。この日はめったに本戦を見てもらえないリュウジさんもコースサイドに。頑張らないといけないんだけれど...決勝スタートで失速。以降失速。グリップの萎えたタイヤもうまく扱えない。
「なんや〜木村さんショボい走りしてはって。」とリュウジさんは言う。
内側スタートのホールショット時に全走者にプッシングにならないように若干調整したのが事の始まりではあったが、何だか結果だけでなくレースの考え方自体が間違っていた事への指摘だと思った。攻めていけば良かったのだ。勿論ジェントルでクリーンな試合でなければならないことに間違いは無いのだが、今自分がしようとしていることは「レース」なのだ。公道ではない。誰よりも速く先に行かなければならないのに一体自分は何をやっていたのか。レース風?レースしてる体?
5年前は完走できるかどうかが問題だっが、今はレースに対する思想が問題だ。レースをしよう。過度に上品さを考えすぎてはいけない。それだと既に気迫で負けてしまう。今自分はレースに参加しているのだ。
2024/8/28
縁あってF110なる乗り物で遊ばせていただくチャンスがありました。ビッグネームのチーム所属のいいところ。言いたいことを先に書きますと、極めて中毒性の高い乗り物で、危うく「俺も来年1台頼みます!」などと口走りそうな体験だった。そして一旦口ずさめば本当に用意されてしまうので本物のレース屋は怖いのだ。
レーシングカートと比較すると、GT系の乗り物は「普通車のそれへ進化」といった印象を受けるが、操舵感覚も踏まえてF-4は「カートが大きくなった」感じがする。使うテクニックもカート寄りで、しかもRが大きいので色んな現象がバラけて感じられる。そう、以前バスの乗り味についても書いたことがあったが考える時間が増える感覚。
「やっぱり大人はこれだよ」
と言えたらどんなに嬉しいことか。スポンサーのオファーをお待ちしています。成果は約束できません。
ゼッケンは、何故か41...
2024/10/31
第5戦の練習で14号車のエンジンを壊してしまい、至急41号車のエンジンを移植。故に自分は試合に出られなかった。その後、ボーリング修理等が行われたエンジンが帰ってきたのだが、様々な事情があり今週の土曜日の時点でカートにインストールされていないといけない自体に。でも時間がない。仕方がなく園長先生は日中の良い時間に子どもたちの前で装着作業を開始。目を輝かせる子たちも居た。将来のレーサーが現れるかもしれない。そう、これは仕事。仕事なんだ。たまたま土曜日までにエンジンが取り付けられただけなんです。
このストーリーは不定期に続編が増えていきます。ネタを思い出したらその時期に記事を追加しますので、追記はコスミックカート時代だけではありません。